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おふくろさん騒動

 このところ、森進一さんの歌った「おふくろさん」の歌詞が、勝手に改変されたということで、作詞家の川内康範さんが、森さんの歌唱を禁止するように、日本音楽著作権協会(JASRAC)に届けたとのことですね。ま、ポピュラー音楽の世界では、歌=歌い手、というイメージが強いので、これで、もう、森さんは「おふくろさん」を歌えなくなるのでは?と、森進一ファンの方は、心配しているかもしれません。
 でも、クラシックの世界から見ると、実は、こういうことは、ほとんどありえないことなんですよね。たとえば、クラシックの場合、ベートーヴェンの第九交響曲を例にとっても、誰か一人の指揮者で、ある特定のオーケストラの演奏でしか、演奏されないということはありえないのですよ。カラヤンが指揮しても、佐渡裕が指揮しても良いわけです。これは、現代曲でも同じで、わたくしの同級生の松下耕の合唱曲でも、別に、松下自身が指揮しなければ、歌っちゃいけないということはありません。
 ま、初演の委嘱ということで、初演だけはこの団体にこの人にということはありますが、それは初演だけの話で、次からは、きちんと、演奏のときに著作権料を払えば、だれが演奏しても、かまわないのです。
 そういう、意味で言えば、「おふくろさん」だって、別に、森進一さんじゃなくても、郷ひろみさんでも、杉良太郎さんでも、あるいは、田原俊彦さんでも、だれが歌ってもかまわないと思うのです。
 結局、今回のことは、歌詞の著作権人格権の問題が、作者と特定の歌い手の間でこじれたということで、ま、これを機会に、他の人が、「おふくろさん」を歌ってもいいんじゃないかと、わたくしは思います。歌い手だって、いつまでも生きているわけではないのですから、もし、この曲を何百年も歌い継ぐのなら、いろいろな人が、いろいろな形で歌っていったほうが、意味があるように思います。

by omasico | 2007-03-05 14:29 | 音楽・オルガン  

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