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聖書便利グッズ

 『聖書』の解釈について、ある友人に、「聖書は聖書に語らせる」という聖書学の原則を、お伝えしたのですが、ある『聖書』のことばが、他の、どの箇所に書かれているかまで、まだまだ、わからない、とおっしゃっていたので、今回は、普段、ミサの朗読の準備や、聖書研究会の準備などに役立つ、いわば聖書便利グッズのようなものを、ご紹介したいと思います。ただ、『聖書』の原文は、ヘブライ語(一部はアラマイ語)とギリシャ語で書かれていますので、もちろん、それらの言語が分かるにこしたことはないのですが、また、それらを十分に理解するに至るのも大変ですし、加えて、専門的で高価なものでも困るでしょうから、ここでは、わたくしの、これまでの経験上、日本語のもので、これがあれば、ミサの準備や聖書研究会などで助かり、それほど高価でなく、ハンディーなものをご紹介したいと思います。  

 まず、多くの方が、聖書を読むときに一番悩むのが「あの『聖書』のことばはどこにあったっけ?」というようなものだと思います。たとえば、
『洗礼は一つ』というパウロのことばがあったのだが、パウロのどの手紙だったろう?
というときには、新教出版社から、発売されている、『新共同訳聖書 コンコルダンス 聖書語句索引』が役に立ちます。これは、聖書のことばが五十音順に掲載されていて、そのことばが用いられている文章の一部と、そのことばが含まれている聖書の箇所が分かるというものです。
 先のことばの場合には、「せんれい(洗礼)」をいう項目を引くと、「信仰は一つ,~は一つ エフェ 4:5」とあり、このことばはパウロの「エフェソの教会への手紙」の4章5節にあることが分かります。 また、第二部として「固有名詞編」があり、『聖書』の地名や人名が載っている箇所を引くことができます。たとえば、有名な「サムソン」を引いてみると、「サムソン Samson (人) H [小さな太陽] イスラエルの士師 13:-16:.ヘブ11:32.」とあり、「サムソン」が人名であり、原語はヘブライ語(H=ヘブライ語、G=ギリシャ語)、その意味が「小さな太陽」、イスラエルの士師であって、士師記の13章から16章とヘブライ人への手紙の11章32節に出てくることが分かります。 
 この『新共同訳聖書 コンコルダンス 聖書語句索引』全体でも500ページに満たないもので、大きさはB6版とハンディーですから、『聖書』と並べておけば、すぐに、どこに『聖書』のどのことばがあったかを知ることができます。  
 
 次に、『聖書』のあることばが他の『聖書』のどの箇所から引用されているか?を知るのに便利なのが、引照つきといわれる『聖書』です。これは、ある『聖書』のことばや段落・文章などの並行記事や関連箇所などが、欄外に記してあるものです。わたくしは手元にはありませんが、日本聖書協会から、『新共同訳聖書』と『聖書口語訳』の二種類が発行されています。ちなみに、カトリック教会の聖書朗読で用いられている、「旧約聖書続編」が載っているのは『新共同訳聖書』だけです。ちなみに、値段のほうは、普通の『聖書』より二割がた高くなっています。  
 
 もう一つ、手元にあると便利なのは『聖書辞典』の類です。これも、数多く出されているので、迷うところですが、『聖書新共同訳』を読んでいる場合お勧めなのが、キリスト新聞社から発行されている、『小型版新共同訳聖書辞典』で、値段も2400円と手ごろなのですが、現在のところ絶版となっています。同様に、新教出版社からも『新共同訳 聖書辞典』が出ていて、こちらは2800円です。中高生向きではありますが、岩波ジュニア新書、山形孝夫『聖書小事典』は、項目は少ないですが、読みやすいものです。余談ですが山形さんは、フルート奏者の山形由美さんのお父さんです。教会の設置図書などに、聖書辞典があればそれを使うのがよいでしょう。もちろん、インターネットで調べるという方法もありますが。  
 そのほか、イエス時代の歴史的背景を知るには、ミルトスから、いくつかの、ユダヤ教とキリスト教の学者の共同研究の書籍がありますが、かなり、品切れ状態で、現在入手できるのは、『イエスはヘブライ語を話したか』のみです。  

 今ひとつ、役に立つのは、フランシスコ会聖書研究所で訳している『聖書』の分冊シリーズで、ここにある、注は、かなり学問的にも詳しい見解が示されています。ただ、この聖書をすべてそろえるには、かなりの費用を要します。  以上、いくつか、聖書の朗読や聖書研究会の準備に役立ちそうな、聖書グッズ的なものをあげてみました。もちろん、指導者の個人差もあるでしょうから、なんともいえませんが、コンコルダンス(聖書語句辞典)は、やはり、一冊手元においておきたいものだと思います。 ちなみに、わたくしは「引照つき」の『聖書』の代わりとして、神学部時代に買った、ヘブライ語とギリシャ語の底本を使っています。もっとも、最近はあまり使わなくなりましたが。  

by omasico | 2006-06-02 07:08 | 祈り・聖歌  

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