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耳が良くなる(音楽)

 「魚を食べると頭がよくなる」という歌があり、よくスーパーの魚売り場で「これでもか!」というほど繰り返されているのを聞かされて、頭が痛くなることがあります。「マグロの目玉」のコメントでも書きましたが、魚を食べた食べただけでは頭は良くなりません。魚を食べて、頭を活性化するために働かせることが大事です。
 ところで、わたくしは職業柄かもしれませんが、よく「耳がいいね」と言われます。か細い鳥のさえずりや、遠くで鳴っている救急車のサイレンの音も他の人が気がつかないうちに聞こえますし、いくつか一緒になった音や、複数の声も聞き分けることができます。反対に、BGMが鳴っている喫茶店とか、音が大きい所では、読書をしたり何かに集中することができません。どうしても、音に気が行ってしまうからです。

 ところで、「魚を食べると頭が良くなる」方式で、「耳が良くなる」方法がありませんか?と言われるかもしれませんが、実はこれがあるのです。と言っても、補聴器のようなものを使ったりするわけではありません。用意するものは、バッハのCDとCDプレーヤーです。
 実は、『典礼聖歌』の作曲者から言われたのですが、
「あのねー、フーガを聴くとね、耳が良くなるんだよ」
ということで、この数年、よくバッハのフーガを聴いています。バッハのフーガと言ってもいろいろな曲がありますが、わたくしは、職業柄、やはりオルガンを聴いています。もちろん、ポピュラーなものも聴きますが、なるべく手の込んだもの、たとえば、テーマが反行・拡大しているもの⇒C-dur のプレリュードとフーガや、ストレッタを使っているもの⇒G-dur のプレリュードとフーガ、トッカータとフーガ(ドーリア)などです。
 おおよそ、フーガと言うものは、「主題(テーマ)」と「対位旋律」がいろいろな調に移され、複雑に絡み合うので、それらを聞き分けるようになることで、
「だんだんと耳が良くなる」
というわけなのです。
 有名なプレリュードとフーガやトッカータとフーガもお勧めですが、わたくしがもうひとつお勧めするのは、6曲ある「トリオソナタ」です。「トリオソナタ」と言うのは、その名のとおり、トリオ=3つの旋律でできたオルガン曲で、右手で一つの鍵盤を使って一つの旋律左手でもう一つの鍵盤でもう一つの旋律ペダルで通奏低音を弾くものです。3つの旋律が、異なった鍵盤で弾かれるので、それぞれのストップ(音色)も異なるため、比較的旋律と通奏低音が聞き分けやすいのです。ただし、弾くほうは結構大変で、右手と左手と足が右や左に行ったりきたりするので、最初のうちは足腰が痛くなったりします。とはいえ、この、3つの音色の違いと技法は聴いていてなんとも言えない面白さがあります。ぜひ、6曲ある「トリオソナタ」を聴いてみてください。

 もちろんフーガバッハだけではありません。
ベートーヴェンのピアノソナタのフーガ
高田三郎の合唱組曲「わたしの願い」の最後のフーガ
も、とても感動的です。これらもぜひお聞きいただきたいものですが、これらは、聞き分けるまでにはかなりの経験が必要です。と言うわけで、入門として、まずは、バッハのフーガからはじめてください。そうすると、皆さんの耳も、きっと
「どんどん良くなる」
ことうけあいです。

by omasico | 2005-11-17 20:02 | 音楽・オルガン  

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